車両の車齢が高くなると!
上の画像は、4トン トラックのスチール製ホイールの折損画像です。
車両の車齢が高くなると、車両の各所に劣化がみられ始めます。
上の画像のホイールは、4トン トラックの後輪に着いていました。
トラックの後輪は荷重に耐えられるように、Wタイヤ(ダブルタイヤ)になっているものが多いです。
今回は、このダブルタイヤの内側のホイールが折損していました。
ホイールの脱輪に気づかずにしばらく走行していたのか、ホイールが取り付く部分、ハブという部品も摩耗&損傷がみられました。
一歩間違えれば大事故に
今回の脱輪は不幸中の幸いで、折損したホイールがダブルタイヤの内側でした。これがもしもダブルタイヤの外側のホイールだったとしたら大きな事故になっていたかもしれません。
もしも、走行中に脱輪していたら?!
タイヤ付きのホイールは、その走行速度のまま転がっていきます。
大型車のタイヤ付きホイールが制御を失い、歩道側へと転がっていたとしたら。
時速30km/hで転がるタイヤ付きホイールの相手が、車両だったら。
時速30km/hで転がるタイヤ付きホイールの相手が、歩行中の人だったら。
高速道路であれば、更に速度は増している状況になりかねません。
幸いにして、今回のケースでは大事故にはつながらなかったとのことですが、
大事故になっていた可能性は否めないどころか、人が亡くなる可能性も有り得る状況です。
大型トラックタイヤの脱輪は なぜ起こるのか?
大型トラックタイヤが外れてしまう原因はたくさんあります。そのほとんどがホイールナット・ホイールボルトの規定トルクでの締め付けがされていなかったという作業ミスによるモノが多いと推定されています。
締め付けトルク不足によるホイールナットの緩みはもちろんですが、ホイールナットの締め過ぎも原因の一つです。ホイールナットが緩むことを気にして、ついつい強く締め過ぎてしまいがちですが、締め過ぎはホイールナット・ホイールボルト・ホイールの金属疲労の原因の一つです。
私達プロの整備士は、こうした締め過ぎや締め付け不足によるトラブルを防ぐために、パワートルクセッターという工具を使用してホイールナット・ホイールボルト一つひとつの締め付けトルクを管理しています。
パワートルクセッターは、締め付け工具に締め付けトルクをコントロールするコンピューターが搭載された締め付け工具です。デジタルで規定のトルクを設定して締め付け作業を行います。規定トルクに達すると空回りをして締め過ぎを防いでくれます。人間の感や感覚に頼るものではなく、コンピューターが制御&管理をしてくれるので正確でとても安心です。(ちなみに、当社ではパワートルクセッターの点検校正も一年に一度定期的に実施していますのでご安心ください。)
また、事業用自動車の大型車の法定点検には、ホイールの取付状態の点検は必須項目になっていますので、弊社ではもれなく点検を行っています。
今回のケースでは、ホイールナット締め過ぎによるスチール製ホイールの金属疲労による折損の他、念のため全てのホイールを取り外して確認したところ、他のホイール2本にも亀裂が見つかりました。
安心安全に運転するためにも、ホイールナット・ホイールボルトの締め付けトルク管理は正確に正しく行いましょう。
一番大事なことは、日頃の運行前点検・日常点検を確実に行い故障トラブルを未然に防ぐことです。
日頃トルク管理は容易にはできないかもしれませんが、運行前に点検ハンマーを使用してホイールナット・ホイールボルトの緩みがないかの点検やホイール及びタイヤに亀裂や損傷がないかの目視による点検はタイヤ脱落事故を未然に防ぐには効果的な点検になります。
少しの違和感・異変を感じた時、知識やスキルがあれば、ご自身で入念に点検を行い。そうでなければ、すぐにプロに相談してください。
締め付けトルク管理は 国からの許認可を受けた整備工場へ
陸運局から認証や指定を受けた整備工場は、国からの指導によりホイールナットの締め付けトルクについては心得ています。
もちろん、私達「井野口自動車整備工場」は許認可を受けた整備工場です。
プロのタイヤショップ(タイヤ専門店)でタイヤ交換をされているお客様のホイールナットは強く締められていて、ホイール脱着作業が困難な場合があります。
タイヤ交換も、国家整備士の居るタイヤショップ・整備工場にお任せしましょう。