こんにちは。井野口自動車整備工場の井野口誠です。
造園業の現場では、繁忙期にだけ塵芥車を使用するというケースも多く、コストを抑えるために「中古塵芥車」を導入することがあります。
しかし、中古車選びを「安さ」だけで決めてしまうと、思わぬ故障や修理費で余計な出費につながることがあります。
今回は、プロの整備士としての視点から、中古塵芥車導入で必ず確認すべきポイント3つをご紹介します。
(僕自身が仕入れのときに「必ず見ているポイント」も合わせてお伝えします)
1. 架装部(荷箱・圧縮部)の状態
現場でよくある失敗例
「見た目はきれいだったのに、実際に使ったら排出板が動かない」
「荷箱内の床板に穴が開いていて、ボロボロだった」
チェックポイント
- 荷箱内部にサビや腐食による穴がないか
- 積込動作がスムーズか、異音がしないか
- 油圧シリンダーやホースににじみがないか
- 汚水タンクや排水経路に腐食・変形がないか
架装部は、後から修理すると大掛かりになり、費用も高額になる部分です。パッカー車(特殊車両)にとって架装部はまさに「命」。購入前には必ず実動チェックを行うことが必須です。
僕が仕入れるときは、修理代を逆算して仕入れ価格を決めています。
「高額部品が壊れていても修理すれば使えるのか?」「その修理費を反映しても販売価格が高額になりすぎないか?」――こうした判断をします。
そして最も重要なポイントが、交換不可能なボディ(骨格・構造部分)が健全かどうか。ここが劣化していたら修理不可能ですから。
2. エンジン・排気装置(DPFマフラー)の状態
現場でよくある失敗例
「納車してすぐに警告ランプが点いた」
「走行はできても、再生燃焼がうまくいかず仕事にならない」
チェックポイント
- エンジン始動時のかかり具合、アイドリングの安定性
- 異音や、白煙・黒煙の有無
- 冷却水やオイル漏れ跡がないか
- ラジエータキャップを開けてエンジン回転を上げ、燃焼室からの圧縮漏れ(吹き返し)がないか
- DPFマフラーの再生履歴(頻度・強制再生の有無)
- 警告ランプ履歴コード(診断機で確認)
パッカー車は走行距離が少なくても、オーバーヒート歴がある可能性があります。
もしヘッドガスケット交換やエンジンASSY交換になれば高額修理になるため、必ず確認すべきポイントです。
また、DPFマフラーは非常に高額部品なので、中古導入時に状態を見極めることが特に重要です。
3. 車両の履歴と整備記録
現場でよくある失敗例
「安いと思って買ったら、前オーナーが酷使していた車両だった」
「整備記録がなく、どこまで部品交換されているのか分からない」
チェックポイント
- 「走行距離が少ない=安心」ではない!距離に惑わされず実際の状態を見る
- 整備記録簿の有無
- 定期点検やオイル交換がしっかり実施されているか
中古車は「前オーナーがどう使っていたか」で寿命が大きく変わります。履歴を必ず確認しましょう。
専門家コメント
中古塵芥車の導入で失敗しないコツは、「安さ」や「走行距離」ではなく「状態」で選ぶことです。
特に造園業で使用する場合、草木特有の水分や発酵熱で架装部が傷みやすいため、購入前には必ず知識のある専門家に相談することをおすすめします。
安く見える中古車でも、数か月後に修理費が数十万円かかれば意味がありません。
購入前点検+納車後の定期整備をセットで考えることが、長く安心して使うための鉄則です。
📌 まとめ
- 架装部の腐食・油圧系統の動作確認は必須
- エンジン・DPFマフラーは整備工場で診断を受ける
- 使用履歴・整備記録を確認して「安さに隠れたリスク」を見抜く
💬 次回予告
次回は「燃料費を節約する運転・管理術」をお届けします。
日々の積み重ねがコストに直結する燃料費。プロが実践する具体的な節約テクニックをご紹介します。