こんにちは。井野口自動車整備工場の井野口誠です。
造園業の現場では、繁忙期に塵芥車が止まってしまうと大きな損失になります。
「修理代」そのものよりも、作業が止まることによる売上の機会損失の方がはるかに高くつくのです。
例えば、繁忙期に1日車両が動かないだけで、数十万円分の現場作業が滞ることもあります。
定期メンテナンスは「費用」ではなく、利益を守るための投資だと考えるべきです。
今回は、造園業で使う塵芥車に合わせた 定期メンテナンスのスケジュールと重要性 を解説します。
1. 日常点検(毎日〜週次)
毎日の点検で「小さな異常」を早期に発見することが、突発故障を防ぐ第一歩です。
チェック項目
- 灯火類の点灯確認
- エンジンオイル量・冷却水量の確認
- タイヤ空気圧・摩耗状態
- 油圧ホースのにじみや亀裂
- PTO作動の確認
- 緊急停止スイッチの作動確認(動かないよりも、止まらないことの方が危険です!)
👉 これらはドライバー自身ができる範囲。「動かす前に見る」習慣化が最大の予防策です。
2. 月次点検(1か月ごと)
日常点検では見えにくい部分を、月に一度はじっくり確認します。
チェック項目
- エンジンオイル・作動油の汚れ具合と量
- ラジエータフィンの清掃(埃・草木くず)
- 架装部(荷箱)の洗浄と排水経路の詰まりチェック
- バッテリー電圧確認
- 架装部のグリスアップは最低でも月1回!
👉 「まだ大丈夫」と思っても、このタイミングで整備工場に相談すれば、大きな故障の芽を摘むことができます。
3. 繁忙期前点検(年2回の重点点検)
繁忙期の直前に重点点検を行うことで、突発的なストップを防げます。
重点項目
- 油圧ホース・各種シリンダー → 繁忙期中の連続作動は大きな負担
- DPFマフラーの状態確認 → 目詰まりを放置すると、最悪エンジン破損につながる
- 冷却水・不凍液の濃度、ラジエータ清掃 → 夏場のオーバーヒートは命取り
- パッカー部のグリスアップと、全作動の確認
👉 繁忙期は「壊れやすい時期」でもあります。繁忙期前点検を経営ルール化するだけで、作業ストップのリスクを大幅に減らせます。
4. 年次点検(12か月ごと)
車検は法律に基づいた点検ですが、架装部の点検は含まれません。
そのため、車検と同時に「年に一度の健康診断」として架装部の年次点検を実施するのがおすすめです。
重点項目
- 燃料噴射系のメンテナンス
- DPF・EGRバルブ・EGRクーラーのメンテナンス
- 作動油および作動油フィルターの交換(年1回推奨)
- 架装部メーカーが指定する年次点検項目
👉 年1回の本格点検は、長期的な燃費改善と寿命延長に直結します。
専門家コメント
塵芥車の故障は「突然起きた」と思われがちですが、実際には 小さな異常を放置した結果です。
特に造園業で使う塵芥車は、草木の重量や水分・発酵熱によって、家庭ごみ回収用よりもはるかに負担が大きいのが現実です。
**「壊れてから直す」ではなく「壊れる前に整える」**ことこそが、燃料費・修理費・ダウンタイムの全てを抑える最良の方法です。
📌 まとめ
- 日常点検=小さな異常を見逃さない
- 月次点検=軽微な不具合を未然に防ぐ
- 繁忙期前点検=最大リスクを避ける経営判断
- 年次点検=長期的な燃費改善と寿命延長
💬 次回予告
次回は「もう悩まない!塵芥車のレンタル vs 購入、最適な選択肢の見極め方」をお届けします。
繁忙期だけ使うべきか?思い切って購入すべきか?
造園業に合った経営判断のヒントを、プロの視点からわかりやすく解説します。