こんにちは。井野口自動車整備工場の井野口誠です。
燃料費の高止まりが続くなか、造園業の現場でも「どうにかして燃料代を抑えたい」という声をよく耳にします。
確かに急発進を避けたり、アイドリングを減らしたりといった運転の工夫は効果があります。
しかし整備士として強調したいのは――
**「車両のコンディションを良い状態に保つことこそが最大の節約」**だということです。
燃費の悪化は運転方法だけではなく、車両の状態そのものに大きく左右されます。
そして、その状態管理ができていないと、燃料費だけでなく修理費まで余計にかかることになるのです。
1. 運転の工夫で抑えられる「ムダ」
- 急発進・急加速を避ける
→ 燃料のムダを減らすだけでなく、駆動系やクラッチの寿命延長にもつながります。タイヤの摩耗も減らせるかもしれません。 - アイドリング時間を短くする
→ PTOを使わない待機中の空ぶかしは、燃料消費もDPFの詰まりも悪化させます。 - 適正な積載を心がける
→ 塵芥車はゴミを圧縮しながら積み込むため、実際には「最大積載量以上」に積めてしまうことがあります。
しかし過積載は違反であるだけでなく、燃費悪化に加え、架装部・クラッチ・駆動系全体に大きな負担をかけ、故障リスクまで高めます。
こうした「小さな工夫」の積み重ねは確かに大切です。
2. 整備不良が「燃費悪化」の原因になる
実は燃料代のムダの多くは、運転よりも整備不良から生まれているケースが少なくありません。
- エンジンオイルの劣化 → 摩擦抵抗が増え、燃費が落ちる
- タイヤ空気圧不足 → 転がり抵抗が増え、燃料が余計にかかる
- ラジエータの汚れや目詰まり → オーバーヒート気味になり、効率が下がる
- 排気系の詰まり → マフラーが詰まっている場合、それは結果であって原因ではありません。根本はエンジンの燃焼状態が悪く、燃料を余計に吹き込むことで、燃費悪化にもつながります。
これらは「壊れてから修理」だと数十万円単位の出費になりますが、日常点検や定期メンテナンスで未然に防げるものばかりです。
3. 燃料節約と修理費削減は「表裏一体」
「燃料費の節約」と「修理費の削減」は、実は同じ方向を向いています。
- 燃費が悪い → 部品に負担がかかっているサイン
- 部品を労わる整備 → 燃料効率が良くなり、寿命も延びる
つまり、燃費管理=車両の健康管理でもあるのです。
専門家コメント
燃費を良くしたいからといって、運転の工夫ばかりに目を向けるのは不十分です。
整備士としてお伝えしたいのは、「車を壊さない運転」ではなく「壊れない状態を維持する整備」こそが最大の燃費対策ということ。
日々のちょっとした点検や、計画的なオイル交換・清掃を怠らないだけで、燃料代と修理費――この二つのコストを同時に抑えることができます。
📌 まとめ
- 運転の工夫(急発進・アイドリング削減・適正積載)は基本中の基本
- 燃費悪化の多くは整備不良が原因、点検とメンテナンスが節約の近道
- 燃料費を節約することは、修理費を抑えることと同じ意味を持つ
💬 次回予告
次回は「故障は突然やってくる!塵芥車の定期メンテナンススケジュールと重要性」をお届けします。
年間を通じて、どのタイミングで何を点検すべきかを分かりやすく整理してご紹介します。