こんにちは。井野口自動車整備工場の井野口誠です。
造園業のお客様からよくいただくご相談の一つに、
「塵芥車は購入すべきか、それともレンタルで十分か?」というものがあります。
塵芥車は決して安い買い物ではありません。
だからこそ、この判断を間違えると、コストや効率に大きな差が出てしまいます。
今回は、整備士として、そして経営目線から、レンタルと購入のメリット・デメリットを整理し、最適な選び方をお伝えします。
1. レンタルのメリット・デメリット
メリット
- 繁忙期だけ使える
→ 夏〜秋の草木処理シーズンなど、必要な時期に合わせて台数を増やせる。 - 維持費ゼロ
→ 車検・保険・税金・定期点検・突発的な修理費はレンタル会社が負担。 - 初めてでも安心して試せる
→ 今まで塵芥車を使ったことがなかった方も、性能や使い勝手を確認できる。 - 最新車両を体験できる
→ 新しい機能を試せるので、将来の購入判断に役立つ。
デメリット
- 長期利用は割高
→ 1年以上の常用にはコストがかさむ。 - 仕様を選べない場合がある
→ 架装部や積載量などが希望通りにならないことも。 - 使いたい時に使えない可能性
→ 繁忙期はレンタル車両が出払っていることもあるため、早めの予約が必要。 - 返却時のリスク
→ 破損や不具合が見つかると、追加費用が発生するケースもある。
👉 レンタルは「繁忙期の補助」や「まず試してみたい」という場合に最適です。
2. 購入(新車・中古車)のメリット・デメリット
メリット
- いつでも自由に使える
→ 現場のスケジュールに完全対応。 - 作業内容に合わせた車両を選べる
→ 剪定枝や落ち葉が多い現場なら「圧縮力の強いプレス式」
→ 公園や住宅街など狭い道が多いなら「小回りの利く2t車」
→ 広い現場で効率を重視するなら「大容量の3t車・4t車」 - 長期的には割安
→ 使用頻度が高いほど、トータルコストはレンタルより安くなる。
デメリット
- 初期投資が大きい
→ 新車はもちろん、中古車でもまとまった資金が必要。現在は車両価格が高騰傾向にあり、値下がりは期待しにくい。 - 維持費がかかる
→ 車検・税金・保険・整備費を自社で負担する必要がある。 - 中古車リスク
→ 架装部やDPFマフラーの状態次第では高額修理が必要になることも。
👉 購入は「通年で使用する」「複数台必要」「年間稼働日数が多い」場合に有利です。
3. 判断のポイントは「使用頻度」と「現場規模」
塵芥車の導入で最も大切なのは、自社の作業内容と稼働状況を見極めることです。
- 年間使用日数が100日未満 → レンタルの方が効率的
- 年間を通じて使う/台数が不足している → 購入が有利
- 繁忙期だけ台数を増やしたい → 購入+レンタルの「併用スタイル」も選択肢
ただし「併用スタイル」はどの現場にも当てはまる万能な方法ではありません。
特に小規模の造園業さんの場合は、まず「レンタルか購入か」を明確に選び、
自社の状況に合わせて少しずつ最適な形を探していくのが現実的です。
4. 整備士からのアドバイス
レンタルでも購入でも、共通して大切なのは 「壊さないように使う」意識です。
- レンタル → 借り物だからこそ、自社車両以上に丁寧に扱う
- 購入 → 資産だからこそ、日常点検や清掃を欠かさない
塵芥車は特殊車両であり、修理費は高額になりがちです。
しかし、日常点検と正しい操作を徹底するだけで、寿命は大きく変わります。
📌 まとめ
- 繁忙期だけ使うなら → レンタル
- 通年で稼働させるなら → 購入
- 規模や状況に応じて「併用スタイル」もあり
- いずれの場合も「壊れる前に整える」意識が最大の節約につながる
💬 特別編予告
シリーズの締めくくりとして、【特別編】をお届けします。
テーマは「整備士としての信念」。
“壊れたから直す”だけではなく、“壊れる前に整える”ことを大切にしている理由を、私自身の言葉でお話しします。