こんにちは。井野口自動車整備工場の井野口誠です。
造園業の現場で回収する剪定枝や草木は、一見すると軽そうで無害に思えます。
しかし実際には、塵芥車にとって大きな負担となり、寿命を縮める原因になります。
タイトルでは「水分」としていますが、実はそれだけではありません。
草木に含まれる水分が重さを増すだけでなく、発酵による熱や酸の生成が金属部品を劣化させるのです。
ここでは、なぜ草木が塵芥車を傷めるのか、そのメカニズムと対策を解説します。
1. 水分重量による機械負荷の増大
現場でよくある声
「雨上がりの現場は、すぐに満載になる(過積載になる)」
「芝刈り後の草は、水を含んでいて重すぎる(過積載になる)」
ポイント
- 草木は水分を多く含むと重量が大幅に増加します。過積載時の運転は、制動距離が長くなるなど走行面でも大変危険です。
- 例えば乾燥状態の草木が1立米=約200kgでも、雨水や朝露を含むと1.5〜2倍に重くなることがあります。
- その結果、油圧系統や駆動部に過剰な負担がかかり、モーター焼損や油圧ホース破損のリスクが上昇します。
対策
- 雨天作業後や水分を多く含む草木は、なるべく早めに荷下ろし
- 高水分の草木は圧縮を控え、無理な積載を避ける
- 繁忙期でも重量管理を徹底する
2. 発酵による高熱と腐食促進
現場で見られる症状
- 荷箱内部の塗装剥がれや、枝による内側からのキズ
- 金属部分のサビや腐食進行が早い
- キズや凹凸から腐食が広がり、最終的に穴があく
メカニズム
- 草木は切断されて積み込まれると、内部に残った糖分や水分を微生物が分解し、発酵が始まります。
- 発酵過程では熱が発生し、さらに有機酸などが生成されて金属を傷める要因となります。
- 湿度と熱がこもる荷箱内部は、防錆塗装を突破して腐食を加速させる環境となります。
対策
- 草木を荷箱内に長期間放置しない
- 定期的に隅々まで洗浄・乾燥させる
- 防錆塗装やコーティングを定期的に実施
3. 汚水の影響
現場での実態
- 草木から出る水分は「汚水」として荷箱下部や排水経路に溜まる
- 汚水には腐敗した有機物が含まれ、悪臭や菌の発生源になる
影響
- 排水経路の詰まり
- フレームや床面の腐食
- 作業環境の悪化
対策
- 排水経路のこまめな洗浄
- 汚水タンクの定期清掃
- 清掃後は乾燥を徹底
専門家コメント
造園業の塵芥車は、「重量増」「高熱」「腐食」という三重の負担を受けています。
乾燥ごみや家庭ごみとは異なり、生きた有機物を扱うことで、車両には短期間でダメージが蓄積します。
日常的な重量管理と、作業後の洗浄・乾燥の徹底だけで、車両寿命は確実に延ばすことができます。
📌 まとめ
- 草木の水分は重量増を引き起こし、機械負担を増加させる
- 発酵による熱と酸が金属腐食を加速させる
- 洗浄・乾燥・防錆で寿命を延ばすことが可能
💬 次回予告
次回は「忙しい繁忙期こそ危険!造園業塵芥車の急な故障パターン」をお届けします。
なぜ繁忙期に限ってトラブルが重なるのか?
予防のための年間点検計画もご紹介します。
✨ 補足 ✨
今後は「塵芥車の洗浄・清掃の正しい方法」についても記事化予定です。
現場で役立つ実践的なポイントをお伝えしますので、どうぞご期待ください。