こんにちは、井野口誠です。
10日間にわたるブログチャレンジを終え、心から「やってよかった」と感じています。
人に思いを“伝える”ことの難しさ。
読む人の立場に立って、できるだけ優しく、わかりやすく書くということ。
頭ではわかっていたつもりでも、実際にやってみて気づくことばかりでした。
でも、「伝えること」には力がある。
この実感は、これからの仕事にも、人生にも必ず活かしていきたいと思います。
11日目特別編の今回は、僕の本音の中の“本音”をお話しさせてください。
■ 実は僕、整備士になりたくなかったんです
高校時代、僕はカヌー部に所属していました。
毎日、厳しい練習を乗り越えながら、体を動かすことが大好きになっていったんです。
当時の夢は、整体師としてスポーツ選手の体をケアし、支える仕事をすること。
でも、父の思いは違いました。
「家業である整備工場を、息子たちに継いでほしい」——。
夢を語る僕に、父は首を縦に振りませんでした。
結果、高校卒業後は自動車整備の専門学校に進学し、整備士の道へ。
整備士になってからも、ずっと気持ちの中に引っかかるものがありました。
正直に言えば、40代前半くらいまで、「好きじゃないことを仕事にしている」という感覚を持ちながら働いていたのです。
■ “自分の意思で“舵を切り始めた”その瞬間から、事業はゆっくりと動き出した
父がリタイアを意識し始め、僕が現場を任されるようになった頃、
ようやく「仕事の中に自分の考えや想いを反映できるように」なってきました。
そのとき、はっきりと気づいたんです。
「ああ、自分は今、自分らしく生きている」と。
もし僕が、根っからのクルマ好きだったら…。
整備業界に対して、疑問を持つこともなく、ただ目の前の仕事をこなしていたかもしれません。
でも、“好きじゃなかったからこそ見えた景色”がありました。
だからこそ、塵芥車というニッチな車両に目を向け、そこにこそ自分の価値があると気づけたのだと思います。
今では、父に感謝しています。
この道を選んだことにも、心から誇りを持っています。
■ なぜ、塵芥車整備士を続けているのか?
答えは、少し意外かもしれません。
理由は、“儲かるから”です。
でも、これは適当に選んだ答えではありません。
自動車整備業界で生きていくために、真剣に悩み、考え抜いた末の選択でした。
乗用車整備は、どこでもできる。誰でもできる。
だからこそ、価格競争が激しく、整備士も経営者も疲弊していました。
「このままじゃ、みんなが豊かになれない」
「誰にもできないことを、自分たちの仕事にしよう」
そう考え抜いて、たどり着いたのが――塵芥車専門の整備という道だったのです。
■ 遠方からも頼られる存在に
現在、僕たちの工場には、県外からも修理や中古車のご相談、レンタカーのご依頼が届きます。
「遠くても、井野口さんのところに頼みたい」
そう言ってくださるお客様の声が、本当に嬉しく、励みになっています。
これこそが、“誰にもできない仕事”を磨いてきた証だと思っています。
■ 整備士は、「現場の安心」をつくる仕事
整備士という仕事は、基本的に裏方です。
直接「ありがとう」と言われることは、少ないかもしれません。
でも――
- 現場で動かなくなった車を、すぐに復旧させたとき
- 故障で止まりかけた業務を、整備で支えたとき
- 一度役目を終えた車両が、再び現場で活躍しているのを見たとき
そんな瞬間に、
「自分の仕事には、価値がある」
と、心から感じることができるのです。
■ 僕にとって、塵芥車とは?
この仕事をしてきて、塵芥車を3つの言葉で表すとすれば、こうなります:
- 街を支える“便利な道具”
- 日本の技術と知恵の結晶
- 未来を変える“夢のある車”
ゴミを集める車というだけでなく、
街の“当たり前”を静かに支える、働く車なんです。
■ 塵芥車から始まる、地球規模の役割
小さな町の整備工場にできることなんて限られている。
そう思っていた過去の自分に言いたいんです。
「塵芥車一台が、地球の未来を変える種になれる」と。
日本の知恵と技術を、次は世界のごみ問題の現場に届けたい。それが私の夢です。
- 日本製塵芥車で、後進国のゴミ問題に貢献したい
特にインドネシアやフィリピンでは、経済成長にインフラが追いつかず、ごみ収集の仕組みが整っていない地域が多くあります。
そこに、小型で高性能な日本の塵芥車を届けたい。 - 日本のごみ処理の在り方を見直し、未来の地球を守りたい
分別すれば、ゴミは資源です。
焼却ありきではなく、「循環」を意識した仕組みを整備業界から発信したいと考えています。
■ そしてもう一つ、どうしても伝えたいこと
塵芥車(パッカー車)は、「破砕機」ではありません。
多少の圧縮力はありますが、無理な詰め込みや用途外の使用は、故障や寿命の短縮につながります。
正しい使い方を知り、正しく扱うこと。
これもまた、整備の一環です。
車にとっても、人にとっても、長く安全に使うために必要な“基本”です。
■ あなたに伝えたいこと
僕のように、「好きではなかった仕事」を続けて、
その先で“やりがい”を見つけた人間もいます。
- 「どうしたらできるか」を真剣に考える会社
- 夢ばかり語る整備士(社長)がいる会社
そんな会社があっても、面白いと思いませんか?
塵芥車で困ったときは、いつでも気軽に相談してください。
■ 最後に
この特別編は、整備のノウハウではなく、
僕という人間の背景と想いをお伝えしたくて書きました。
ここまで読んでくださったあなたに、心から感謝します。
これからも、
「街を支える仕事を、裏側から支える整備士」として、
塵芥車と真剣に向き合い、磨き続けていきます。
ありがとうございました。
—— 井野口 誠