こんにちは。井野口自動車整備工場の井野口誠です。
造園業の繁忙期といえば、夏から秋にかけての剪定・草刈りシーズン。
仕事が集中し、現場はとにかく「効率重視」になります。
しかし、この繁忙期こそ塵芥車の急な故障が多発します。
「忙しいから点検を後回しにする」「無理な使い方をしてしまう」ことが重なり、車両に大きな負担がかかるのです。
今回は、繁忙期に多い急な故障パターン3つと、その予防法を解説します。
1. 油圧ホースの破損
現場でよくある声
「現場でいきなり油が噴き出した!」
「積込が動かなくなって作業がストップ…」
原因
- 繁忙期は稼働時間が長く、油圧ホースへの負荷が増大
- 夏場は油温も上昇し、最適使用温度を超えて劣化が加速
- 小さなヒビ割れを放置していた結果、繁忙期に一気に破裂
対策
- 毎日の点検で「にじみ」「ヒビ」を必ず確認
- ホースは2〜3年ごとの予防交換を検討(メーカー推奨交換時期:24か月ごと)
- 作動油・作動油エレメントは6か月ごとに交換(メーカー推奨)
- 忙しい時期こそ「早めの部品交換」が故障防止につながる
2. エンジンオーバーヒート
(架装部ではありませんが、繁忙期に多い重大トラブルです!)
現場でよくある声
「作業中にエンジンが止まってしまった」
「水温が急に上がって、ヒヤッとした」
原因
- PTO作業でエンジン回転数が高い状態が長く続く
- 作業中は走行風による冷却効果が得られない
- 運転席を離れる時間が多く、水温計の異常に気づきにくい
- 造園現場の土ほこり、砂ぼこりでラジエータが目詰まりし、冷却効果が低下
対策
- ラジエータフィンの定期清掃(エアブロー・水洗い)
- 冷却水量の点検を毎朝実施
- サブタンクの水位確認と、不凍液の濃度チェック
- PTO作業中は定期的に水温計を確認し、警告灯を見逃さない
3. DPFマフラーの異常
現場でよくある声
「警告ランプが点いて、出力が落ちてしまった」
「最近、手動での再生要求が頻繁に起こる」
「再生燃焼時間が長くて作業に支障をきたすようになってきた」
原因
- PTO作業中はエンジン回転が高めに維持されるが、コンピューター制御によりDPFの再生燃焼が入らないよう制御されている
- そのため煤が堆積しやすく、繁忙期には短期間で警告ランプが点灯
- エンジンがオーバーヒートすると再生燃焼が途中で中断することもある
対策
- 定期的に長距離走行を行い、DPFを高温で自動再生させる
- 警告ランプを無視せず、手動での強制再生を確実に行う
- 繁忙期前にDPFマフラー洗浄を実施し、堆積したアッシュを除去
専門家コメント
繁忙期のトラブルは「急に起きた」と思われがちですが、実際には日常の小さな異変を放置した結果です。
特に造園業の塵芥車は、草木特有の「重量・発酵熱・腐食」という負担を受けやすく、家庭ごみ用の塵芥車よりも故障リスクが高いのです。
繁忙期の前に年間点検を計画的に行い、消耗部品は予防交換することが、最大のリスクヘッジになります。
📌 まとめ
- 繁忙期は稼働時間増で油圧・冷却・排気系のトラブルが多発
- 故障の多くは「事前に防げたもの」が大半
- 年間点検計画と予防整備で、現場のストップを防ぐ
💬 次回予告
次回は「中古塵芥車を導入するときに注意すべきポイント」をお届けします。
“安さ”だけに目を奪われて失敗しないために、プロがチェックするべき箇所を詳しく解説します。