「部品を交換する」だけが整備ではない。
こんにちは。
井野口自動車整備工場の井野口です。
前回の記事では、DPDマフラー内部の触媒が破損していることが分かり、さらに排気シャッターバルブにも不具合が見つかったお話をしました。
今回は、その修理結果についてご紹介します。
DPDマフラーと排気シャッターバルブを交換
今回の車両は、
・排気ガスをきれいにするマフラー(DPDマフラー)
・排気シャッターバルブ
この2つを交換することになりました。
交換後は、故障診断機を使って各部の状態を確認し、DPDマフラーの再生も正常に行われていることを確認しました。
さらに、排気シャッターバルブも正常に作動していることを確認。
そして最後に、エンジンの状態をもう一度詳しく点検しました。
特に、燃料を霧状に噴射するインジェクター1本1本の状態を確認したところ、異常は見られませんでした。
そのため今回は、
インジェクターは交換しない。
という判断をしました。
「交換しない」という判断も、整備士の仕事です。
整備というと、
「壊れた部品を交換する仕事」
というイメージを持たれる方も多いと思います。
もちろん、壊れた部品を確実に交換することは、とても大切な仕事です。
しかし私は、それと同じくらい、
「なぜ、その部品が壊れたのか。」
その原因を見極めることが重要だと考えています。
これからの自動車整備は、部品交換の技術だけではなく、
整備士一人ひとりの診断力が、ますます重要になる時代
だと思っています。
診断は、決して簡単ではありません。
現場では、
「これが本当の原因なのか。」
「他にも原因が隠れているのではないか。」
判断に迷うこともあります。
お客様のことを考えれば考えるほど、
「念のため、考えられる原因をすべて交換した方が安心ではないか。」
そう考えてしまう場面も少なくありません。
また、整備士も人間です。
経験を積んでいても、思い込みや判断ミスによって誤診をしてしまう可能性はゼロではありません。
だから私は、一人で判断を抱え込まないようにしています。
自分だけで判断しきれないときは、その分野に精通した方へ相談し、アドバイスをいただきながら診断を進めています。
今回の修理でも、専門的なアドバイスをいただけたことで、より納得できる診断につながりました。
私は、
「一人の知識」よりも、「人とのつながりから生まれる知恵」の方が、お客様により良いサービスを提供できる。
そう信じています。
無事に納車することができました。
修理を終えたあと、お客様は東京都から車両を引き取りに来てくださいました。
無事に納車を終え、修理代金もお支払いいただきました。
遠方にもかかわらず、弊社を信頼して修理をお任せいただけたことに、心から感謝しています。
この修理を通して感じたこと
今回、一番嬉しかったことは修理が終わったことだけではありません。
ブログを読んでくださり、
「ここなら相談してみよう。」
そう思っていただけたことです。
この出来事を通して、改めて
「伝えることの大切さ」
を実感しました。
これからも、パッカー車で困っている方が必要な時に、このブログへたどり着けるよう、現場で感じたことや整備士としての考え方を発信していきたいと思います。
次回予告
今回の修理を通して、改めて感じたことがあります。
それは、
「今年の夏は、DPDマフラートラブルが本当に多い。」
ということです。
私自身もそう感じていましたが、リビルト部品を扱う専門メーカーの方にお話を伺ったところ、
「今年の夏は例年の約1.5倍の注文が入り、製造が追いつかないほどです。」
というお話を聞きました。
なぜ、今年の夏はこれほどDPDマフラートラブルが増えているのでしょうか。
次回は、現場で実際に感じている
「猛暑とDPDマフラートラブルの関係」
についてお話ししたいと思います。